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業務委託契約で「どんな問題が起こりえるのか?」

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業務委託契約の注意点

 

業務委託契約は、法律上は直接規制をされることがないため、契約の内容は自由に決めることができ、使い勝手が良いという利点があります。

 

しかし、一方で、問題が起こった場合、契約内容の法律的な理解が浅いことから、一方に不利であることに気付かずに、契約に合意してしまう例や、他の法律に抵触しているのに、「業務委託契約」という表題にとらわれて、違法な状態で働かされているのに気付かなかったりする例が多数起こっています。

 

これらは、一方の当事者が法律的な知識が浅いことを知っていて、陥れるような場合もあります。また、仕事を提供する側も法律上の視点がなく、問題があると気付かないで、不法・違法な契約を結んでしまっている場合も少なくありません。

 

契約を結んでしまっても、極端に不公平である場合、他の法律に抵触する違法な要素が含まれる場合や、重大な錯誤(法律上の勘違い)がある場合、脅迫や強要などで意に反して結んだ場合、などは民法の規定により、契約そのものを無効、と主張できるケース、取消ができるケースも多々あります。

 

ところが、多くの場合、契約をしたご本人も取消ができることに気付かずに、長い間、理不尽な状況に耐えてしまっていることが多いのが実情です。こうした、「問題になりやすいこと」は、まだ、あまり知られていないことが、リスク回避を難しくしている一因であるといわれています。

 

トラブルにつながるケースを知っておけば、万一、自分の身に似たような状況が降りかかっても、問題が小さいうちに処理できることにつながると考えます。ここでは、業務委託契約で問題になりやすいケースを見ていきましょう。

 

問題例①:「偽装請負問題」

 

請負とは、業務の一部ないし全部を会社や個人に任せて行ってもらい、成果物の納入をもって報酬を支払うという仕事の形態です。派遣と請負は、似通った点が多く、ちょっと見ただけでは区別がつきづらいときもあるようです。

 

フリーランスの仕事は、多くが請負や委任という形で行われますから、一般の会社から、業務の請負を依頼される場合があります。そんな時、注意したいのが、「偽装請負」という形です。

 

本来的な意味での偽装請負は、人件費を削減したい会社が、正社員として雇っていた人たちに対して、「給料や仕事はそのままで、業務委託契約に切り替えないか?」などと、言葉巧みに誘うものを指します。合意すると、いったん社員は自己都合で退職したことにされ、その後、業務請負契約で業務をしているということにされます。

 

しかし、仕事そのものの指揮は会社側の上司がとり、出退勤の時間などもそのまま。変わったのは社会保険がなくなり、健保と年金が自己負担になったことと、退職したのに失業保険が利用できないこと。つまり、会社にだけ有利な条件になってしまって、実際の手取りは保険負担分だけ減っているという状況です。

 

しかも、指揮命令は上司が行う、となると、本来の「請負」とは違い、事実上の雇用関係は続いているとみなされます。本来の請負の場合、出退勤や作業手順、使う道具などについて、発注元である会社には指揮権がありません。

 

フリーランスの場合も同じようなことが起こっているケースがあります。例えば入力作業の請負などの現場で発注元指定の場所で、指定した時間仕事をさせるのに出来高払い、などの条件で働かせているようなケースなどは、注意が必要です。

 

問題例②:「二重派遣問題」

 

偽装請負問題と同じくらい、良く見かけるのが、この二重派遣といわれるケースです。派遣契約というものは、本来、派遣元の会社の社員である派遣労働者を、派遣先の指揮命令のもとに働かせるという形で、仕事そのものは派遣先で行われ、給料は派遣元が受け取ったものから、派遣労働者に支払われます。

 

二重派遣というのは、派遣されている社員を、派遣先の会社がさらに、別の会社へと派遣する形のことを言い、これは法律で禁止されている行為になっています。派遣労働者に実際の給料が渡されるときに、過剰な中間搾取がされていることも、しばしば起こっていて、更に派遣会社としての正規の登録も得ないままこうした行為を行っているものも見受けられます。

 

派遣労働者でないフリーランスが、請負として作業を行っている先から、更に別の会社への出向を求められるような場合や、契約先であるはずの依頼主から、個別契約もなしに、別の会社のために作業を行うことを、求められるような場合は、注意が必要です。こうした場合、契約書にあらかじめ、そのような条文が記載されていて、「判を押したのだから。」と半ば強要されるようなやり口も見かけます。

 

仮に契約があっても、必ずしも法律にのっとっているか?というと、そうではない可能性も否定できません。不明瞭な部分は必ず確認しましょう。また、一方にだけ有利な契約条項は取り消しが可能な場合もあります。あまりに不条理な場合は専門家を挟んで相談することも大切です。

 

「クラウドソーシング」で気を付けると良いこと

 

近年、インターネットを介した新しい働き方として注目を浴びているのが「クラウドソーシング」です。

 

インターネットを通して、自分の都合良い時間帯に、好きな場所で作業を行えるという点で、時間を有効に活用できるばかりでなく、外出が困難でも自宅で働ける、地方都市など仕事の募集も少ない場所にいながら都市部での募集に応じられる、などの、これまでにはなかった利点が数多く認められています。

 

クラウドソーシングサービスは、今後さらなる改善・高度化が期待されていますが、

現状の一般的なシステム特徴においては、

  • 当事者間の匿名性による不透明感
  • 遠隔コミュニケーションによる意思疎通での誤解
  • 手軽さと背中合わせの見落とし(税金処理、契約など)

の可能性を包含しえるため、特に気を配りたいところです。

 

 

それでは、対策を併せて、以下に簡単に見ていきましょう。

 

 

当事者間の匿名性による不透明感

ネット社会全般に言えることとして、当事者が目前に現れるわけではありませんから、ネット上だけのやり取りでお金の動く契約を結ぶことについて、双方に不安を感じさせる要素があることは否めません。

 

ネット通販や、オークションなどでも取引当事者同士は匿名でのやり取りから、購入(落札)をした後で、初めて本名での直接的なやりとりへと移行します。遠距離での取引が珍しくないという特徴もあり、代金と商品のやり取りにもタイムラグがあります。「先払いしたのに、商品が届かない。調べてみたら住所もでたらめだった。」などのオークション詐欺被害も起こっています。

 

インターネットを介した仕事も、これと同じ危険性が潜んでいる、ということは言えるでしょう。取引相手の匿名性や、実存を確認しづらいことなどは同様です。納品したのに支払われない、というリスクはなるべく回避できるよう、一部を前渡してもらう方法を取る方もいらっしゃるようです。エスクロー入金制や、本人確認など、トラブルを避けるためにも積極的に利用したいものです。

 

 

遠隔コミュニケーションによる、意思疎通での誤解

遠隔でのコミュニケーションでは、通信手段が限られることから、相互に思い込みによる勘違いが発しやすい状況だといえます。これは、着手から完了まで、いつでも起こりうる心配な点です。

 

これは、多少面倒でも、着手の際、細かいことまで丁寧に打ち合わせを行い、契約書の作成にまでは至らなくても、メールなど残るもので確認したことを後から見返すことができるようにする、区切りのつくごとに、作業内容を確認する、などによってかなり防げます。また、可能であれば「Skype」などを使って、直接連絡することも有効な場合があります。

 

また、何か問題が起こったときのために、極力記録を残しておく努力をしたほうが無難です。面倒なようでも、残しておくことで、思わぬトラブルに巻き込まれたとき、証拠として利用することができます。

 

 

手軽さと背中合わせの見落とし(税金処理、契約など)

インターネットを介したクラウドソーシングは、だれでも気軽に始められるという利点がある半面、非常に手軽にスタートできるため、自分の責任範囲を認識しづらいという弱点も併せ持っています。まさに、手軽さと背中合わせの見落としと言える部分です。

 

たとえ、お小遣い稼ぎにつもりでも、仕事は仕事であり、請負なり委任なりで作業を行う以上、フリーランサーは個人事業主であり、契約内容や提出した成果に関する責任は問われます。また、受けた支払いに関する税務処理などのお金に関する責任も同様です。

 

自分の手を離れたら著作権は譲渡したんだから、作業に責任を負わなくていい、などの誤解をしている方も散見しますが、成果物の著作権についてはそうでも、作業そのものは委託されて実際に行った人に責任があり、損害が発生したときには、その賠償義務を担うといったケースも実際に起こっています。また、依頼の際にこうした但し書きをされている契約書もあります。このような責任もあるのだということは、念頭に置いておく必要があるでしょう。

 

税金についても、きちんとした処理を行っていないと、後になって、追徴が発生したりする心配もあります。アルバイト程度でも収入が増えてきたなら、こうした点も丁寧にチェックする必要があると知っておきましょう。

 


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